前回、緊急外来に来た時、隣のベットに怪我をした小学生らしき男の子がいた。(カーテンの間仕切りで見えない)何かの事故で肋骨を傷めたらしい。その子がずっと「手術は嫌だ~!」と叫び続けていた。
看護婦さんが「大丈夫。すぐに終わるから。」お母さんが「手術しないとずっと痛いままでしょ」などとなだめているが一向に言うことを聞かずに叫び続けている。
「手術はいやだ」
「痛くしない大丈夫」
「でもいやだ!手術はしない!」
「手術しないと家に戻れないでしょう!」
「手術は嫌だぁ!」
「ポケモンカード買ってあげるから!」と、
手を変え品を変え説得を試みているのだがすべて失敗に終わっている。ここで思った。
{この子は漠然とした「手術」というイメージに恐怖を感じているのだからもっと説明してあげないと・・}
数十分そういった問答が続きやっとそれに気づいたお母さんが言葉を変えた。
「どうして手術が怖いの?」
「だって切るんでしょ」
という話をキッカケに子供の心配を一つずつ取り除いていく。
これでやっとその子も少し安心できたようだ。
子供には説明してもわからないと思っていること・・実はそうではないことが多いはず。言い方を変えわかりやすく説明すれば理解できるはず。
それはとても大事なことだ。
何しろ得体の知れない恐怖というのが一番恐ろしいのだから。