これは、今は亡き父が写真展をやったときの一枚だ。実はこの写真展が最初で最後だった。写真展を勧めたのは私だが、その時父が言った。
「写真のプロが写真展するとお客さんに悪い気がする。」
父にとって、プロが写真展をすると、地元のお客さんが自信をなくすのではないか？と心配していたわけだ。
「それは要らぬ心配だよ。絶対やったほうがいい。」と、説き伏せて開催することになった。そんな風に周りに気を使う父ではあったが、それと同時に気が回らない部分もあった。
例えば、奥の方の阿蘇の噴火の写真。
この写真の撮影の時には私も同行した。確か中学生位だったと思う。夜中に起こされて「今から阿蘇の写真を撮りに行くが一緒に行くか？」と聞かれた。
夜中に阿蘇を撮影する・・・何のことかよくわからないまま一緒に行くことにしたが、当時中岳が噴火していたことを現場で知った。
マジに噴火している。
当然立入禁止なのだが、阿蘇のことをよく知っている人と一緒に登山道を登り、轟音聞こえる噴火口を目指した。（良い子は真似しないでね）
登山道には火山灰が積もり、歩くのも大変な状況。遠くの噴火口からはゴーッという地鳴りが聞こえている。怖い・・・。
そんな中父は楽しそうに、どんどん登っていく。周りは噴石だらけ。
この事自体も問題だが、それだけではない。
一緒に登っている父はイタリア製の登山靴でヘルメットで万全の装備をしているが、私にはないのだ・・・私だったらまず子どもにヘルメットをつけさせるはずだ・・・しかし、父は単純に「火山見れたらおもしろいよね」という思いつき、即行動なので、子供が危険とか思いつかないのだ。
そういえば冬山にスニーカーで登山させられて足の爪が凍傷ですべて死んだことあるな・・とか、海釣りで何度も海に落ちたな・・とかあったので思った。
「マジ、子どもみたいな人なんだ」
その後、噴火している溶岩の写真をアマチュア無線のQSLカード（更新証明書のはがき）にして1万枚も焼いたりして、嬉しそうだった。
しかし、その写真を見る度私は、
”あの時、俺、ヘルメットなかったんだよなぁ”と、何度も思い返したが、それでもやっぱり素晴らしい思い出になったのだ。
Click to listen highlighted text! 父は写真好きで子供みたいなひとだった 評価 (0) これは、今は亡き父が写真展をやったときの一枚だ。実はこの写真展が最初で最後だった。写真展を勧めたのは私だが、その時父が言った。 「写真のプロが写真展するとお客さんに悪い気がする。」 父にとって、プロが写真展をすると、地元のお客さんが自信をなくすのではないか？と心配していたわけだ。 「それは要らぬ心配だよ。絶対やったほうがいい。」と、説き伏せて開催することになった。そんな風に周りに気を使う父ではあったが、それと同時に気が回らない部分もあった。 例えば、奥の方の阿蘇の噴火の写真。 この写真の撮影の時には私も同行した。確か中学生位だったと思う。夜中に起こされて「今から阿蘇の写真を撮りに行くが一緒に行くか？」と聞かれた。 夜中に阿蘇を撮影する・・・何のことかよくわからないまま一緒に行くことにしたが、当時中岳が噴火していたことを現場で知った。 マジに噴火している。 当然立入禁止なのだが、阿蘇のことをよく知っている人と一緒に登山道を登り、轟音聞こえる噴火口を目指した。（良い子は真似しないでね） 登山道には火山灰が積もり、歩くのも大変な状況。遠くの噴火口からはゴーッという地鳴りが聞こえている。怖い・・・。 そんな中父は楽しそうに、どんどん登っていく。周りは噴石だらけ。 この事自体も問題だが、それだけではない。 一緒に登っている父はイタリア製の登山靴でヘルメットで万全の装備をしているが、私にはないのだ・・・私だったらまず子どもにヘルメットをつけさせるはずだ・・・しかし、父は単純に「火山見れたらおもしろいよね」という思いつき、即行動なので、子供が危険とか思いつかないのだ。 そういえば冬山にスニーカーで登山させられて足の爪が凍傷ですべて死んだことあるな・・とか、海釣りで何度も海に落ちたな・・とかあったので思った。 「マジ、子どもみたいな人なんだ」 その後、噴火している溶岩の写真をアマチュア無線のQSLカード（更新証明書のはがき）にして1万枚も焼いたりして、嬉しそうだった。 しかし、その写真を見る度私は、 ”あの時、俺、ヘルメットなかったんだよなぁ”と、何度も思い返したが、それでもやっぱり素晴らしい思い出になったのだ。 Powered By GSpeech
