MP3ってどんな形式?
私たちはデジタル・オーディオの世界で音楽を聞いたり、Youtubeの音を楽しんでいますが、その仕組となるとあまり良くわかっていない場合が多いですね。例えばよく聞く音のファイル形式にMP3というのがあります。
MP3ってなあに?と聞いて正確に応えることができる人は少ないでしょう。このMP3と言うのは正式には MPEG-1 Audio Layer-3 といいます。
なんのこっちゃ?ですね。これを日本語に訳すとこうなります。
「パソコンで動画を見るために作られた形式から音だけ取り出して作られた3番めの規格形式」
もう少し説明すると、元々MP3は音をやり取りするために作られたデータではありませんでした。実は動画をパソコンで見るために作られたMPEG-1という形式から映像を外した物とも言えます。
今も使われているMP3の特性
規格としては古い為、いろいろな問題があるにも関わらず未だに多くのデバイスで移用されているMP3という形式の特性をまとめてみます。
1.圧縮してデータを小さくできる。
圧縮して音の情報を間引きしています。これは大きな音に隠れた小さな音の情報などを捨てています。だからデータは小さくなる。(ということは音は劣化してます)
2.古い規格なので対応しているデバイスが多い
携帯を始め、多くの機材に於いてMP3を再生出来る機材は多いですね。
3.音だけ使うなんて前提になかったので著作権管理などができない。
当時の規格では、複製防止という事は考えられていなかったため、コピーガード的なものが用意されておらず、複製し放題ということになります。だからといって違法コピーが許されるわけではなないのですが、そういった知識なしに使っている人がほとんどでしょう。ただ、デジタル・ミュージックの状況も変わってきており他の形式でも今ではこういったコピーガード(DRMなど)などは使われなくなりつつあります。
MP3は音が悪い?
音データをMP3にすると、元々1曲あたり50MB(WAV形式やAIFF形式など)だったものが1/10くらいの5MBに圧縮出来ます。オーディオCDの全体容量が700MBなので、一般的なポップスでは10曲から15曲位入れることができますが、MP3データなら100曲くらいは入るという事になります。通信などで送るのには都合いいですし、ipodで聞くにも容量が少なくてすみますね。
当然圧縮すると音が変わります。少し乱暴に書けば、
「音の艶やかさが失われて全体的に詰まった感じになる。」
文字通り圧縮された音になるんですね。
これは、私達プロが聞いて分かる範囲の音質低下なんですが、一般的にはほとんどわからないでしょう。これは人間工学に基づいて聞こえづらい音を削ってるからです。
実はMP3は古い規格なので、けっして圧縮率が高く高音質ではありません。iTuneで使われているAACという圧縮のほうが断然優れています。
しかし、これらはあまり普及していません。なぜなら、著作権保護が可能なため自由にコピー出来ない。それに対して「規格は古いけど違法コピーしまくっても関係ないぜ」的MP3を皆使っているわけです。また、規格が古い分対応できる機材が豊富であることもその理由の一つでしょう。
MP3にも圧縮率というものがあります。その設定において音質も変わりますが、原音とMP3では同時に聴き比べないとその差を実感することは難しいでしょう。
再生環境の重要性
MP3で音楽を聞くこと自体が問題だとは思いませんが、それ以上に考えていただきたいのは、再生環境の問題です。良いオーディオ装置を使わない限り、良い音で聞くことは出来ません。
この点において書き出すと、簡単には終わらないので、例えばパソコンで音楽を聞きたい場合どのような装置が必要なのか考えてみましょう。再生装置はヘッドホンを前提にします。
必要となる装置は下記の2つです。(もちろんPCも)
1.DAC
PCに付属しているイヤホンジャックからの音声はけしていい音ではありません。またハム音などのノイズも多く、そのまま使うのは厳しいと思って下さい。このデジタルからアナログに音声データを変換するのが Digital Analog Converter (DAC)です。DACと一概に言っても色々あるので、一般的にヘッドホンアンプと呼ばれる製品を購入したほうがいいでしょう。USB端子に接続すると音声データをアナログ(ヘッドホンで聞くことが出来る信号)に変換してくれます。
DACには高価なものから安価なものまで沢山あるので選ぶのも大変ですが、まずは安価なもので試してみて徐々にスペックアップしたほうがいいでしょう。
例えば幾つか候補を紹介しておきます。
TOPPING DX1 USB
TOPPING DX1【新登場】USB DAC & ヘッドホンアンプ一体型 AK4493Sチップ XMOS XU208 ハイレゾ音源対応 THD+N<0.0002% Hi-Res USB DACオーディオデコーダー 280mW x 2 最大出力
¥13,800
引用元:Amazon
AIYIMA DAC-A2
ヘッドフォンアンプ PC-USB/光/コアキシャル入力、RCA/3.5mmヘッドフォン出力 デジタル/アナログ変換 アナログ卓上オーディオコンバーター 5V 24Bit 192kHz
¥4,999 (¥500 / 1商品あたりの価格)
引用元:Amazon
2.ヘッドホン
これはもう、金額的にもピンキリで、音の方向性も様々なので一概にこれがいいということは出来ませんが、今回は私が使っている幾つかのヘッドホンを参考までにご紹介します。
モニター的な音作りでありながら一般的な音楽鑑賞でも使いやすくコストパーマンスに優れているモデル
AKG ( アーカーゲー ) / K240MK2 セミオープン型ヘッドホン 3年保証モデル
通常価格:¥12,800(税込)
安心3年保証モデル! K240 MKIIは、旧モデルからダイアフラム&ハウジングの材質を見直すことにより、低域の締りと全体のバランスや明瞭度が向上。世界中のレコーディングスタジオ、放送局で長く愛用され続けているモニターヘッドホンですが、リスニング用としても高い次元のサウンドを表現します。
参照元:Sound House
とにかく気持ちいい音だけだして、不要な音は出さないぜヘッドホン
GRADO SR60x Prestigeシリーズ 有線オープンバック ステレオヘッドホン
¥16,280
第4世代Gradoチューニング44mmドライバー、38オームのドライブが簡単。
アップグレードされた編組ケーブルがねじれやねじれをなくし、4コンダクタースーパーアニール銅配線。
改良版の調節可能なパッド付きヘッドバンド。合成素材を使用し、ビーガンに優しい素材を使用しています。
引用元:Amazon
ハイレゾについて
MP3は不可逆圧縮と呼ばれる劣化するタイプの圧縮形式ですが、それらの元となる一般的な一番いい音源がCDなどの音源でした。このCDで使われているPCM音源の形式は20Hz-22kHz程度の周波数特性を持っていますが、それでは足らないということで生まれたのがハイレゾだったりスーパーオーディオという規格で。その概念自体はMP3というデータ形式と直接的なつながりはありませんが、今後いい音で鑑賞するためには必要となる概念でしょう。
注意:広義の解釈では(MPEG-2 Audio Layer-3)もMP3と呼ばれています。