河原町の路地の一角、その通路には椅子が並べられている。そこに壊れたアーケードの屋根から光が差し込んでいた。光は徐々に動き、ユミツエワンが座っている椅子にも降り注いだ。
ユミツエワンは椅子の上で目をさました。どうやら眠ってしまったようだ。
今日は、仏画の授業がダイエーのカルチャーセンターである。なんでこんなところに居るのかわからないけど、今から行けば十分に間に合う。
いつものようにダイエーで今日の夕飯を買って帰ろう。
ここは練兵町にあるあさちゃん先生の事務所。パソコンの機材やカメラがあちこちに散らばっている。右手には書類の山。そんな雑然とした中で、壊れかかった椅子にもたれながらあさちゃん先生は伸びをした。
しばらく大学を休んでいたけどそろそろ戻らなければ。ここのところ、忙しすぎて記憶があやふやだ。こんな生活を続けていると体にも悪い。
今日のユミツエワンは仏画教室だったな。夕食は何作るつもりかなぁ。また売れ残りの半額のフライか・・・まあ、いいさ、ご飯作ってくれるだけでもありがたい。
最近一緒にどこかに行くことも出来なかったし、今週末は温泉にでも連れて行くか。
二人で楽しめればどこでもいいだろう。
あさちゃん先生は床に落ちているカードに目をやった。なんのカードだろう?何かのサービス券か?そこには、「GADO-GADO Presents 卑しいのマッサージ 1000円」と書かれていた。
なんだこれ、卑しいのマッサージって漢字間違ってるし。デザインひどいな。よくこんなものつくったよなぁ。あさちゃん先生はカードを拾い上げゴミ箱に入れた。
窓の外から隣の小学校の子どもたちの声が聞こえる。今は昼休みの時間帯だ。ベランダに陽が当たり洗濯物が風に揺れていた。