ここは熊本の河原町。終戦後作られた繊維問屋街は、狭い路地に屋根が付けられ迷路のようなアーケードが広がっている。時代に忘れ去られたその一角は、地権が複雑で、区画整理自体が困難な地区であり、熊本の街としても独特の囲気を持っている。
数年前の火事でその1/3が焼け落ち、残った町並みに人影は少ない。
その路地をガドガドは進んでいく。
中央奥の路地の先、シャッターが閉まっている店の前で立ち止まった。シャッターの脇の壁の割れ目に隠されていた鍵を取り出し、シャッターを開けた。そこには地下に続く階段が現れた。
昔の日本の農家にあるような急な木製の階段を降りていくとその先に、鉄の扉があった。
ガドガドは、その扉の前で立ち止まり、右側に隠されていた操作盤を何やら操作した。すると操作盤のスピーカーからコンピューターの合成音声が聞こえた。
「Code Name Please」
ガドガドは答えた。
「GADO-GADO」
扉が開くとさらに奥へと続く廊下が現れた。打ちっぱなしのコンクリートの壁が寒々しい。いくつかの扉の前を通り過ぎたガドガドは、正面のドアの前で立ち止まった。
「ガドガド入ります」
そう言うと彼女はドアを開いた。そこに居たのは?