今日の手相会では更にガドガドに関係する人物が現れた。
NO-ZENと名乗るその白髪の人物は、ユミツエワンの算命占星術の師匠に当たる。
NO-ZEN先生は、今日の手相会の主役である有村さんの手相を受けにいらっしゃったようだ。手相鑑定が済んだあと彼が口を開いた。
「わしは普段は、こういったい占いにはほとんど興味がないのじゃが、良い鑑定であった。」
「そうでしょう。有村さんの手相鑑定は人気がありますからねぇ。」
私の部屋で煙草をくゆらせながらNO-ZEN先生は続けた。
「ところで浅川くんは最近なにか変わったことがないかな?」
「まあ、そうですね。毎日変わったことだらけですが、最近ガドガドさんというインドネシア人に付きまとわれて困っています。」
「ほう、それは興味深い。浅川くんは12月7日から2019年2月3日までが月の天中殺に入るのだが、その前に大きな変化が訪れる可能性があるのだよ。その前兆がすでに現れているはずだが、そのガドガドなる人物がそれに関係しておるのじゃろう。」
「えええ、一体何が起きるんですか?」
「それはわしにもわからん。それはわからんが、異常干支を4つ持つお主のことじゃ、わしらでは想像できない出来事が起きるのじゃろう。ちなみに、異常干支とは、60種類ある干支の中でも精神面で他とは異なる個性(異常性)が出やすい干支のことを言うのじゃが、4つもあるというのは珍しい。」
「いやぁああ、そんなに異常ではないと思うんですが・・・。」
「ふはははは、この異常干支の影響が出るのは老年期じゃ。つまりこれからお主の人生は大きく変わることになるじゃろう。」
「そうなんですね。」
NO-ZEN先生は遠くを見ながら微笑みを浮かべ更に続けた。
「そのガドガドなる者を大事にすべきじゃ。彼女の望むものを与えることで、お主の未来は変わって参る。今や、お主あってのガドガドでもあるがガドガドの存在でお主も大きな恩恵を受けることになるじゃろう。」
NO-ZEN先生の話では、算命学とはタオイズムをベースにした自然科学であり、統計学としての成り立ちを持っているらしい。もともと宗教学者でもあったNO-ZEN先生はその後神主などもつとめ、求められて算命学による鑑定を行っているとのこと。その方からの話であって、耳を傾けるべきことだろう。
それにしてもNO-ZENという名前は気にかかる。日本語にすれば「禅ではない」という意味なのだろうか?禅とは仏の心的なものと理解しているが、仏ではないなら何を意味しているのか?