ガドガドさんの話をユミツエワンが教えてくれた。
昨日は、私が疲れていたのであまり詳しい話は聞けなかったが、代わりにユミツエワンがダイエーの鮮魚コーナーで会ったガドガドさんに色々話を聞いたようだ。
ガドガドさんの本当の名前は「Dewi Sebel Palsu」(デヴィ・セビル・パルスゥ)であり、「ガドガド」はどうやらあだ名のようだ。本名を名のっていないのにはわけがある。
ジャカルタには3人の子供残してきているが、3人共父親は違うらしい。
最初の子供の父親はアメリカ人、二人目はフランス人、三人目はイタリア人であり、マッサージの仕事している時に間違ってできてしまったと言っている。
なんでも、「は入ってしまった」そうだ。
彼女の母がやっているマッサージ店は、ジャカルタの北部KOTA地区にあり、KRLジャボタベック沿線から少し入った川沿いのスラム街にある。マッサージはこの母から習ったとのこと。
ガドガドの母も結婚していない。
実はガドガド自身の父親もはっきりとしておらず、ガドガド同様。
「は入ってしまって、出来た子」
だったらしい。
そんなガドガドであったが、インドネシアのスラム街で生きていくのは並大抵のことではない。毎日のマッサージだけでは3人の子供を食べさせて行けず、次第に色んなものをくすね、生活の足しにしていた。
その生活の中でつけられたあだ名が「嘘つき女神」(デヴィ・ポンボホン)本名のDewiとは女神を表す言葉であり、デヴィ・スカルノと同じ名前ではあるが、その生活はずいぶんと違うものだった。
一旦嘘をつきはじめれば、どんどん膨らんでいく。
嘘に嘘を重ねガドガドは身動きとれない状況に陥った。
暴走族グループ「ジュンバタン・マンパン」のリーダーに気に入られ一時は羽振りも良かったのだが、リーダーの大切にしていたアンパンマンのぬいぐるみを勝手に金に替えようとして発覚、暴走族から追われる事になった。
このため、ガドガドは子どもたちを親に預け、港から出る外国行の船に飛び乗った。
たまたま、乗り込んだのが日本船の「勝栄丸」。船底に隠れたガドガドは、沖合で見つかるが、船員たちをマッサージすることを引き換えに、日本に逃げるのを助けてもらえる事となった。