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変わりゆく呼子の朝市で感じた、少しの寂しさ

変わりゆく呼子の朝市で感じた、少しの寂しさ

先日、久しぶりに呼子の朝市を訪れた。思い返してみると、最初に行ったのはもう30年ほど前になる。旅の途中でふらりと立ち寄り、その後も思い出したように何度か足を運んできた場所だ。

呼子の朝市は、佐賀県唐津市にある港町の名物で、日本三大朝市の一つとして知られている。およそ200メートルの通りに露店が並び、干物や野菜、そして名物のイカなどが売られている。地元のおばちゃんたちとの何気ない会話も、この朝市の魅力のひとつだ。年間でおよそ80万人が訪れる観光地でもあるという。

ただ、久しぶりに歩いてみて、以前とは少し違う空気を感じた。

まず驚いたのは、イカの値段だ。かつては一夜干しが5枚で1000円ほどだった記憶があるが、今では2枚で2000円ほどという店も珍しくない。近年は海水温の変化などの影響で、イカの漁獲量が減少していると言われており、その影響が価格にも表れているのだろう。

もうひとつ気になったのは、店の顔ぶれだ。以前は漁師の家族らしい人たちが元気よく店先に立っていたが、そうした露店は少し減ったように感じる。高齢化の影響もあるのかもしれない。昔よく利用していた朝食の店も、いつの間にか閉店していた。

その代わりに、通りの途中にはカフェのような新しい店が増えている。観光地としては自然な流れなのだろう。若い旅行者にとっては、むしろ入りやすい空間なのかもしれない。
それでも、昔ながらの朝市の雰囲気を知っている者としては、どこか少しだけ不思議な感覚もある。市場というより、小さな観光ストリートに変わりつつあるような印象だ。

もちろん、時代が変われば町も変わる。コロナ禍を経て観光の形も大きく揺れた。そうした流れの中で、地域の商いの形が変わるのは避けられないのだろう。

ただ、朝市という文化の本質は、物を売ること以上に「人の営み」にあったのではないかと思う。港の匂い、店先の世間話、そして地元の暮らしの気配。
観光地として整えられていくことと、その土地らしさが残ること。そのバランスは、案外むずかしい。

呼子の朝市を歩きながら、そんなことをぼんやりと考えていた。時代の流れを感じながらも、あの素朴な朝の空気が、これからも少しだけ残っていてほしいと思う。

  Click to listen highlighted text! 変わりゆく呼子の朝市で感じた、少しの寂しさ 評価 (0) 先日、久しぶりに呼子の朝市を訪れた。思い返してみると、最初に行ったのはもう30年ほど前になる。旅の途中でふらりと立ち寄り、その後も思い出したように何度か足を運んできた場所だ。 呼子の朝市は、佐賀県唐津市にある港町の名物で、日本三大朝市の一つとして知られている。およそ200メートルの通りに露店が並び、干物や野菜、そして名物のイカなどが売られている。地元のおばちゃんたちとの何気ない会話も、この朝市の魅力のひとつだ。年間でおよそ80万人が訪れる観光地でもあるという。 ただ、久しぶりに歩いてみて、以前とは少し違う空気を感じた。 まず驚いたのは、イカの値段だ。かつては一夜干しが5枚で1000円ほどだった記憶があるが、今では2枚で2000円ほどという店も珍しくない。近年は海水温の変化などの影響で、イカの漁獲量が減少していると言われており、その影響が価格にも表れているのだろう。 もうひとつ気になったのは、店の顔ぶれだ。以前は漁師の家族らしい人たちが元気よく店先に立っていたが、そうした露店は少し減ったように感じる。高齢化の影響もあるのかもしれない。昔よく利用していた朝食の店も、いつの間にか閉店していた。 その代わりに、通りの途中にはカフェのような新しい店が増えている。観光地としては自然な流れなのだろう。若い旅行者にとっては、むしろ入りやすい空間なのかもしれない。それでも、昔ながらの朝市の雰囲気を知っている者としては、どこか少しだけ不思議な感覚もある。市場というより、小さな観光ストリートに変わりつつあるような印象だ。 もちろん、時代が変われば町も変わる。コロナ禍を経て観光の形も大きく揺れた。そうした流れの中で、地域の商いの形が変わるのは避けられないのだろう。 ただ、朝市という文化の本質は、物を売ること以上に「人の営み」にあったのではないかと思う。港の匂い、店先の世間話、そして地元の暮らしの気配。観光地として整えられていくことと、その土地らしさが残ること。そのバランスは、案外むずかしい。 呼子の朝市を歩きながら、そんなことをぼんやりと考えていた。時代の流れを感じながらも、あの素朴な朝の空気が、これからも少しだけ残っていてほしいと思う。 2026年03月09日 参照数: 63 前へ 次へ Powered By GSpeech

 

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