たまにはこんな存在の事実を考えてみる。

 子供の頃には、大人になるという感覚がよく分からなかったのだが、この年齢になってもやっぱりよくわからない。すでに孫もいて、誰からも大人というより半分はジジイとして扱われているはずだが、やはり、実感がない。

 大人になるのが嫌だとかそんな事ではない。

 しかし、未だやっていることが高校生の頃とあんまり変わっていない。この歳になって色んなことは分かった気がするし、その「分かる」は、ある意味「分からないことを認める」事だとも理解できた。

 だから、そんな中で、自分の存在をありのまま認める重要性も知っている。だけどそれが出来ない人が沢山居ることも知っている。

 自分を肯定することは難しい。

 心がそれを望まない場合もあるのだ。

 私達はきっと生きることと同様に死をも選ぶ自由を与えられている。そんな自由の中で自分の存在を消したいと思っている人の心を他人が否定することは出来ない。

 それは家族であってもそうだろうし、恋人であってもそうだ。

 そう考えると世の中なんてそう甘くない。

 高校生の頃読んだ本の中で、「私達は自ら修行の為にこの世に生まれてきた」と、書いてあって、その時には納得したものだが、何のために修行するのかと考えても答えはなかった。多分、その答えなんて誰にもわからないだろう。

 勇気を出して生きていくとか、よりよい人生とか、色んな美辞麗句はたくさんあるけど、心がそれを望まなければ意味はない。

 子供は純粋である。

 たしかにそうだ。だが、如何に子供であっても、生きる苦しみみたいなものは持っているし、その四苦八苦に耐えられなくなる人だっている。

 その苦しみに耐えたとしても、歪んだ自我によって更に苦しみが増す事もあるだろう。

 大人に成ったからといって解決できるものではない。

 そういった胸のなかに空いた穴とずっと向かい合うしかないのだ。

 


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