NFT上の作品の所有権と作品自体の著作権について調べてみたい。この点における知識がないと、NFTで作品を売るのには躊躇する場合も出てくるだろう。
1.デジタルデータに付随したトークンの証明システム
NFTの証明書(トークン)がついたデジタルデータは、それ自体に対しての所有の来歴を証明するものになる。このため、著作権や知的財産権を所有しているということではない。その上で、NFTはブロックチェーン上に存在しているデジタルデータ(画像や、動画、音楽ファイルなど)への来歴を証明する。
したがって、他のメディア(データ)と同じく、簡単に複製なども可能となる。つまりコピーガードされているわけではない。このため、デジタルデータに希少性をもたらすと言われるのだが、実際はそのデータ自体ではなく、希少性があるのはトークンということとなる。
2.製作者と購入者の間で契約が交わされない限り、著作権はオリジナルアーティストに帰属する
上記のような仕組みから、NFTで購入された作品に関しての著作権は、基本的に製作者のものとなる。もちろん、NFTでの売買時に別途著作権に関しての取り決め等の契約があれば、その契約に準じての取引となる。また、著作権保護の法律は国によってその適応が違うということもあり、そういった売買における契約時の内容に関しての知識が必要になるだろう。
したがって、そこに金銭の授受があってもNFTに関連づけられているメディアの法的な所有権を与えてくれるものではない。
また、購入者は作品を私的利用の範囲で自由に楽しむことは可能でも、製作者の許可なくそれを複製したり、改変して頒布したりすると、著作権違反に当る。
3.元の作品を消滅させることでNFTの価値を上げる事ができる可能性もある。
こういった状況の中で、元作品をわざと廃棄してNFTに関連付けられた作品の価値を上げるような試みもあるようです。
-----以下引用---
つい先日、バンクシーの作品である「Morons」がNFT化された後に焼却され、さらにそのNFTがオークションに出されたというセンセーショナルなニュースがありました。
これは、バンクシーの作品認証機関である「Pest Control」によって認定された本物のバンクシー作品の「Morons」がNFT化されたものが、ニューヨーク州ブルックリンで暗号資産愛好家のグループのメンバーによって焼却されたそうです。
つまりNFT化される元となったバンクシーの作品はすでにリアルには存在せず、NFT化されたデータにはバンクシーが作成したオリジナルの「Morons」と同じ価値があるということです。
----引用ここまで-----
引用元:NFTで自分のアート作品を販売可能なサービス13選【初心者クリエイター向け】 | NFT NOW
4.著作権へのスタンスの変化
これら状況からデジタルデータの著作権というものに変化が起きているようだ。それは、作品自体を最もゆるいいわゆる著作権フリーに近い状態で配布した上で、所有権をNFTで販売するという方法だ。
ーー以下引用ーー
NFTやDAOは、人々がウェブやデジタルオーナーシップについて考える方法における大転換の一部だ。人々は自らの労働から収益を上げ、より効率的に協働するべきだという包括的な信条、「公共財」の考え方である。
このような考え方にぴったりと当てはまる法的立場がすでに存在する。オープン著作権だ。NFTクリエーターたちの間では、プロジェクトを(最も緩い著作権である)CCO(クリエイティブ・コモンズ)としてリリースするトレンドが広まっている。
こうすると、デジタルアイテムを誰もでダウンロード、リミックス、改変することが可能で、収益を上げても構わない。トークンには所有者がいるが、作品は全員に属するということだ。
ーー引用ここまでーー
引用元:NFTで所有できるのは? NFTと著作権を知る【基礎知識】 | coindesk JAPAN
4.著作者に無断でNFTが売買される危険性
現在のところ、この著作権と所有権の違いによって、著作権を持たない人物が勝手にNFTがでそのデジタルデータを販売してしまうという問題が発生している。この点においては法整備も追いついていないのが現状だろう。
参考サイト