恋愛と愛情の違いとは何か・・ま、そんなことを私が考えるのもちょっと気持ち悪いが、考えてみよう。
例えば「優しいから」「かっこいいから」「価値観が同じだから」「理想的な人格だから」そういった理由があったとしよう。だとして、そういった相手に巡り会えたらそれは必然だと考え夢中になるかも知れない。
ここで、先の理由に一つ付け加える言葉がある。それは「私」という主語だ。「私に優しいから」「私にとってかっこいい人だから」「私と価値観が同じだから」「私の理想とする人だから」。
これは至極当たり前の様に思える。
しかし実は、恋愛という状態は、基本的に自己愛の裏返しである場合が多い。自分の存在を強化してくれる相手が恋愛対象となるわけだ。私を肯定し、私の価値を上げてくれる人だから夢中になる。
これは若いときにはよくある状態であり、自分の足りない部分を補完してくれる相手に恋い焦がれる。
それ自体が悪いわけではない。
だが、その状態は自己愛の裏返しだから、相手が自分の思惑以外の行動に出た時、それは裏切り行為となり、「こんなに私が思っているのに幻滅だ」という事となる。
「いくら自分が思っていても他人は思い通りにはならい」と、言ってあげたいが、恋愛状態の人にとっては「私」が大事なので聞く耳は持たないだろう。
それに対して、愛情の場合は、もう少し高レベル。相手が自分の思惑を超えて行動しても気持ちは変わらない。それは相手の存在を根本的に認めた上での愛情なのであるから、ちゃんと対処することができる。
親が子供にもつ感情に近いだろう。
相手がどんな存在であっても自分を保ちながらも許すことができる感情が愛情であると言える。
これは恋愛から結婚に変わるときに必要となる。そういった覚悟がなければ長く一緒に暮らすことは難しい。
だからといって、ただ耐えるのが愛情でもない。相手が人間として問題であれば毅然とした態度を取る必要もあり、そこでは色々な思い込みからも自由であるべきだ。
妻だから、旦那だからといった社会通念から離れ、あくまでも人間としてどうなのかを判断する毅さを持たねばならない。それができてはじめて愛することができるようになる。